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Essay

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Sorry, Japanese ony.
                             

学生の頃、定期演奏会でOBの演奏というのがありました。私が入部する前のテープ録音を聞かせてもらった中に、「鈴懸けの径」があり、クロマチック・ハーモニカのソロが入っていました。ソリストは現在トリオ「ザ・ノーブランズ」のリードを吹いておられる鶴田亘弘さん。この演奏で、スウィングのアドリブというのはなんとカッコいいのだろうと1発であこがれてしまいました(もっとも、鶴田さん本人はそんなことあったっけ?という記憶の彼方の話でしたが)。
そのうちに、そのオリジナルが鈴木章治のクラリネット演奏にあることがわかってきました。以来、鈴木章治の演奏に注目し、LPやCDを集め始めました。目茶早くて手が出ないものが多いですが、中にはクロマチック・ハーモニカで私が丁度楽しめる位の曲も何曲かあり、レパートリーに取り入れてきました。私の演奏スタイルのルーツの一つがジャズ・クラリネットにあります。その経験でいうと、トランペットやサックスものよりはクラリネットの演奏の方がクロマチック・ハーモニカに合っていると思います。
Tooth Thielemansのような演奏がクロマチック・ハーモニカのジャズ演奏だとすると、やはりクラリネット演奏のコピーはクラリネットっぽく聞こえてハーモニカらしくない気がするときもありますが、スウィング調でクロマチックを吹く人が少ないので、聞いた人からは喜ばれますし、海外でもとても好評でした。そんな曲の数々について。


荒城の月

鈴木章治さんは残念なことに亡くなられてしまいましたが、彼の執筆になるジャズ・クラリネットの教則本があり、スウィングの音階練習やリズムの取り方、フェイクの仕方、アドリブ譜の練習などをよくやりました。その中の1曲に「荒城の月」があり、楽しく練習しました。短い編曲であったので、ハーモニカ・トリオ用に私が作った1コーラスを付け加えてできたのがこの譜面です。
ハーモニカ界の実験工房というイヴェントで「これでもか荒城の月」という催しをやったときにトリオでこの曲を演奏しました。「荒城の月」といえば、複音ハーモニカには有名な佐藤秀廊先生の「荒城の月幻想的変奏曲」の編曲が存在し、全複音奏者の憧れの曲でもありますが、こういう変わったバージョンをレパートリーとして持っていると、意外性を喚起して面白いといってくれる方もいました。

ア・ビアント(À BIENTÔT)

「鈴懸の径」を有名にしたのは、1957年の鈴木章治さんとピーナッツ・ハッコーさんのデュエットの演奏でした。17年後にハッコーさんが再来日したときに「鈴懸の径」もデュエットで再録音しましたが、そのときに作成したLPがPHILIPS FX-8097「再会」で、この中にはクロマチック・ハーモニカに手頃な曲がいくつか含まれており、しかも「再会」、「二人でお酒を」、「私は泣いています」などの歌謡曲をジャズに仕立てたものが含まれておりますから、人前で吹くには受けること間違いなしのアルバムです。以降、クラリネットのLP、CDを随分探しましたが、このような趣のアルバムには2度とお目にかかれませんでした。このLPを偶然購入したことは、私の人生に計りしれない喜びを与えてくれたといって過言ではありません。
さて、このアルバムの中で二人はそれぞれオリジナル曲を書いてレコーディングしておりますが、「ア・ビアント」はハッコーが鈴木章治のために書いた曲で鈴木章治が演奏しております。途中、ビブラホンのソロ部分もクロマチックで吹くようにしてありますが、やはり楽器が違うとアドリブも違った感じになるので、アドリブ演奏できる方は、ご自分のアドリブにしてしまったほうがよいでしょうね。


鈴懸の径

「鈴懸の径」のLPは何枚か集めたのだけれど、当然ながらアドリブは全部違います。その中でやはり好き嫌いがでますが、最も好きなのは一番最初にピーナッツ・ハッコーと鈴木章治がクラリネットを吹いていた版ですね。あの印象が強かったからかもしれませんが、クラリネット、ビブラホン、ギターいずれのアドリブをとっても格調が高いように感じられます。
アドリブなんだから、毎回違うのを聞くべきような気もしますが、気に入ったアドリブは何回も同じものを聞いたり、コピーして吹いてみたりと大分入れ込みました。こうなると、アドリブというよりはそういうメロディだぐらいに思えてしまって、別のアドリブを聞くと違和感を覚えてしまったりします。
ただし、オリジナルはクラリネットが2本必要であり、ハーモニカ・トリオで演奏するにも2本必要なので、トリオ・ハミングバードでレパートリーに採用したのは藤家虹二さんのカラオケの本(CD付)に掲載されていたものです。これも吹き続けておりますので好きなアドリブの一つですが、本来は自分でアドリブしなければいけないのですよね。そうしたいと願いつつもハードルは高く、まだまだその域には達することができません。
さて、藤家さんのカラオケは買った後すぐ売り切れ状態になって2度と楽譜屋さんで見かけることはありませんが、中には楽しいジャズのカラオケがたくさん収録されていて、これも出会いに感謝した本でした。また、この本程度のアドリブの難易度は、クロマチック・プレイヤーにはとても手ごろだと思います。続編を出版していただきたいと思うのは私だけではありますまい。
なお、ここで掲載しているサンプルはまた今述べたどちらでもない、別のアドリブです。

小さな花 

ポピュラーのクラリネット曲で最もよく知られた曲の一つでしょう。多くのクラリネット奏者がてがけています。ここで紹介するのはもちろん鈴木章治さんの演奏です。他に藤家虹二さんがカラオケCDを出していることもあって、そちらの楽譜でもよく演奏ました。
クラリネットの印象の強い曲ですが、クロマチック・ハーモニカの低音も中々の魅力があります。




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