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クロマチック入門3


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関東ハーモニカリーグNo.7(1999年7月)〜No.11(2000年7月)に連載

クロマチックを磨きましょう(1)

 まず、楽器用のシリコン・クロスを用意します。クロマチック・ハーモニカの表面を傷つけないように少しずつ丹念に磨き上げます…と言うようなことを説明したいわけではありません。クロマチックに慣れてきたら、次に表現力を増す方向に音に磨きをかけましょう、そのためには何をしたらいいのかということについて考察していきましょう。
 テレビ、映画、CD、レコードなどで聞くクロマチックの演奏は、とってもカッコいいですよね。あんな吹き方をするにはどうしたらよいのでしょうか。
 まず、楽譜の入手方法について考えましょう。実は、クラシックの曲を除けば、ハーモニカのカッコいいポピュラーの楽譜なぞ、売っていないと思わなければなりません。楽器屋さんで一生懸命探すのは止めにしましょう。私も学生時代、その後とずいぶん探し回った経験がありますが、ないものはないのです。
 では、どうしたらよいのでしょう。
 先生から入手するというのが一つの方法ですが、先生に付いている人は元々こんな解説を読んで上達しようなんて思っていませんね。
 私は、自分で作ることをお勧めします。といってもゼロからはつらいので、まず曲集を手に入れます。ポピュラーの曲集はたくさんありまして選ぶのが大変ですが、私はドレミ楽譜出版社から出ている「ピアノ・ポップス大百科」が手始めによいのではないかと思います。スクリーン、ジャズ、ポップス、アニメ、世界の名曲、クラシックなどにジャンル分けされて、300曲あまりが収録されています。
 その中から、たとえば「シェルブールの雨傘」を選んだとします。この曲集はピアノ用ですが、メロディ・ラインが右手用のト音記号にきれいに出てくるので、そのままクロマチックで吹くことができます。
 しかし、これをいくら練習を重ね、書いてあるとおりに吹けるようになったとしても、残念ながらカッコいい演奏にはならないでしょう。
 そこで楽譜を加工して自分用にカッコよく仕立てる作業に入ります。
 CD、レコードなどで、カッコいい「シェルブールの雨傘」の演奏を見つけます。必ずしもハーモニカの演奏でなくともかまいません。ボーカルでもいいのです。これをカセット・テープに録音します。
 そして、最初から何度も繰り返して少しずつ小節を進めながら、イントロ、間奏、エンディングも含めて、演奏あるいは歌われているとおりに忠実に楽譜に写していきます。
 この作業で気付くことは、演奏、歌などが小節からはみ出していることが多いということでしょう。あるときは、前の小節から始まったり(引っ張り)、少し遅らせたり(引き延ばし)していますね。それらを無視しないで、なんとか楽譜に表現してみましょう。正確には無理でしょうが、8分音符程度の正確さまで表現しましょう。このような崩しの技法はフェイクと呼ばれます。
 とても時間がかかったでしょうが、でき上がったら、それがあなたの財産になります。この楽譜を基に吹いてみます。フェイクされているところは、最初はリズムが取り難いかも知れませんが、手元にはオリジナルの演奏や歌がお手本としてあるのですから、いつでも参考にできます。これで、他の人とは一味違った、少なくともお手本並みのカッコいい演奏ができるようになります。
 このような作業をいろんな曲に対して繰り返すと共に、ジャズ関係の参考書を読んでみるとよいでしょう。そこにはいろいろなフェイクの仕方について説明があり、練習を繰り返すことによって、それらの技法が自分のものになり、ついには上のような採譜作業をしなくても、カッコいい フェイクができるようになっていきます。
 フェイクが決め手Your chromatic harmonica!

クロマチックを磨きましょう(2)

 今度は、クロマチック・ハーモニカとしての磨きをかけることを考えてみましょう。それには、まずお手本になるCD、レコード、またはカセット・テープを入手します。
 プロのプレイヤーの演奏を聞いていると、とても鋭い引っかける感じの装飾音がよく使われているのに気付くかと思います。
 クロマチックの楽器としての構造を考えると、サックス、クラリネット、フルートなどと異なり、どの音でも自由に装飾音を付けられるわけではありません。ある決まった音にだけ付けることができ、プロのプレイヤーは その法則をよく飲み込んでいます。
 その法則を盗み取って自分のものにしてしまおうというのです。
気に入ったクロマチックの演奏を選び、前回に述べた方法で採譜作業を始めます。プロの方法を盗むためには、正しい音程の演奏を選ぶ必要があります。自分でCDやレコードからカセット・テープに落としたものは同じ音程になっているはずですが、他の人のテープ・レコーダで落とした場合には、機種ごとの回転速度が少しずれていることがあり、半音高かったり低かったりして、正しい音程が取れません。そうすると、クロマチックのボタンの押し具合とテープの音程が違うので、正しい法則を見出すことができません。改めて、オリジナルの音源を借りて録音し直しましょう。
 採譜作業の中で、装飾音符についても忠実に書き込んでいきます。前回述べた引っ張りや引き延ばしのフェイク効果ももちろんおろそかにしません。
 でき上がった楽譜をよく研究します。すると、装飾音が使われているのは、ボタンを押す音に対して、押さない音を引っかけて出すパターンであることに気付きます。
 したがって、このような装飾音が可能なのは、ボタンを押す音が出てくる調子でないといけないことが分かります。すなわち、もっとも吹きやすいハ調では装飾音を付けにくい、したがって中々カッコいい吹き方をするのが難しいということになります。もっとも、ハ調でもドを#シ、ファを#ミという風に替え手を使うことで装飾音を付けることができます。
 これが、bが一つ、二つと増えてくると、装飾音を付け得る音が増えてきますから、よりカッコいい演奏が可能になってきます。
 ハーモニキャッツの採譜をしてみると、bが5個、すなわちDb(言い換えれば#が7個のC#)の調子が多く、またそのときに装飾音がたくさん使われていることがわかります。また、スティービー・ワンダーはとても装飾音を多用するプレイヤーですが、#が4、5、6個の曲が多いです。
 別の装飾音にも気付くかもしれません。それは、ハーモニカを瞬間的に横滑りさせ、戻すやり方です。これはラとシの場合に吸う音だけですから、自然なラシラーというような装飾音になります。また、多少不自然なのですが、ドミドーとかレファレーと3度違いの音を横滑りさせて使う場合があります。これがまたサックスなどと違い、いかにもハーモニカという感じの装飾音になり、それなりにカッコいいものです。
 装飾音を書き込んだ楽譜は、慣れない人にはテンポがくずれて吹きにくいようなのですが、お手本を聞きながら練習することでその感覚を伸ばしていくことができます。あきらめずに挑戦し続けてください。
 法則が飲み込めてしまえば、採譜しなくても適当に、かつ適度に(やりすぎは音楽性を壊します)装飾音を付ける応用力が生まれてきます。
 なお、採譜が大変だと言うのであれば、第1回で紹介したように日本ハーモニカ芸術協会代189回実験工房「巨匠たちに学ぶハーモニカ・テクニック」のビデオ・テープと楽譜を参考にすればよいでしょう。特に、「グリーンスリーブス」の曲が今回の話にピッタリで、クロード・ガーデンさんの演奏から採譜したものです。入手方法については、「日本ハーモニカ芸術協会事務局長」岸田(TEL、FAX:045-413-1160)までお問い合わせください。

クロマチックを磨きましょう(3)

 米国出張中のヒマをもてあましたある日に、喉に引っかかるような吹き方をふとやってみたところ、突然喉を震わせるビブラートがかかり始めました。それまで25年間ほどクロマチックを吹いていたのですが、西部劇で流れるカウボーイ・ソングのハーモニカの音をどうやって出せるのかまったく理解できませんでした。それが突然できるようになったのです。
 そうすると面白くてしようがありません。「遥かなる山の呼び声」、「駅馬車」、「ムーン・リバー」、「アニー・ローリー」などを夢中で2時間ばかり吹き続けました。
 これまではカウボーイ・ソングのビブラートはハンド・カバー奏法かなと思っていたものの、ちょっと感じが違うなあという気がして仕方ありませんでした。しかし、喉のビブラートができるようになると、ああ、これだったのだと自分でも納得できました。もちろん、たくさんの映画があるので、ハンド・カバーでやっている曲もあります。しかし、それでは説明できない吹き方の曲がたくさんあり、それがまたカッコいいものですから、長い間疑問に思っていたわけです。
 私がハーモニカを吹くモチベーションの一つは、この西部劇のハーモニカの音でした。できるようになってみると、別に25年間もかからなくてもマスターできるテクニックだと思いますので、今回は誌上でそれを説明してみたいと思います。
 まずはクロマチックを手元においてください。(当然ですね。)
 次に、アッハッハッハと笑ってください。笑えましたか。笑えなければテレビのお笑い番組でも見てください。ハイ、笑えましたね。
 このとき、よく観察すると息が喉に引っかかる感じがすることに気付きます。気付かない?じゃ、ヘッヘッヘとかオッホッホとかハハハハとかいろいろやってみてください。
 この喉に引っかかるという感じをしばらくやり続けて、よく覚えます。笑わなくても、同じ感覚で喉に引っかけられるようになれば最高です。
 よく覚えたら、今度はクロマチックを咥えて吹いてみましょう。どの音にしましょうか。ドの音にしましょう。クロマチックの5番の音ですね。
 吹いてみますが、笑ってはいけません。笑うと、口が開いてしまいます。先ほどいったように、笑わないでも同じ感覚で喉に引っかけなければなりません。
 ドッホッホッホというような音がしませんか。これがドッドッドッドだと、音が切れすぎているのです。多少息を調節して、感じのいい音が出るまで何度も何度も試します。
 ドッホホッホホなどのように均等に鳴らない間は、まだまだです。目標はカウボーイの音です。きれいになるまで練習しましょう。
 今度は、吸って同じことを試します。レッヘッヘッヘですね。ハーモニカは吹きと吸いがあるのです。しかもどちらでも均質の音を出さなければなりません。
 どちらもできるようになったら、音階練習をしてみましょう。

 ドッホッホッホ レッヘッヘッヘ ミッヒッヒッヒ ファッハッハッハ ソッホッホッホ ラッハッハッハ シッヒッヒッヒ ドッホッホッホ

 今書いたように、震わせる回数は、どの音も同じにして音階練習します。
 十分きれいに出るようになったら、「遥かなる山の呼び声」や「アニー・ローリー」に応用してみます。単なる音階練習と違って、音符の長さがいろいろ混じっていますので、中々うまくいかないかもしれませんが、あきらめずに何度も吹いて自分のものにしましょう。
 喉のビブラートは、このように引っかける感じのものの他になめらかなビブラートもあるようです。私にはできませんが、できる人もいるので、いろいろ挑戦してみましょう。25年待つ必要はありません。

クロマチックを磨きましょう(4)

 850円位の横B5版のフルート入門書を立ち読みしたところ、ある章に次のような会話が載っていました。
生徒「先生のようなきれいな音はどうやって出すのですか。」
先生「初心者の音と同じでは、かないません。でも、教えるとしましょう。これは、ビブラートといって…」
 先生は、出し惜しみしながらも横隔膜を振動させるビブラートのかけ方を教え始めます。
 これにはびっくりしました。喉のビブラートをマスターして2年ほどそればっかりで演奏していましたが、横隔膜のビブラートというのができないでいました。そこへ、クロード・ガーデンさんが来日した際に講習会を開いてくれ、そこでようやく横隔膜を動かすというのがどういうことなのかを理解したばかりだったのです。この講習の内容については一生感謝し続けるだろうと思うほど感銘の深いものでしたが、850円のフルート入門書(しかも買ってもいませんが)にはクロードさんが教えてくれたのと同じことを書いてあったのです。
 今回は、横隔膜を震わせる方法について、誌上で説明してみましょう。
 まず、喉と横隔膜は違う方法ですので、一旦、喉のビブラートを止めます。喉は大きく開いて、息が引っかからないようにします。いうのは簡単ですが、喉のビブラートをマスターしていると、ついクセで引っかかりますので真剣に開くよう努力します。
 さて、カラオケの歌でビブラートを効かせられる方は、多分横隔膜が動いているので、それをそのままクロマチックで応用すればいいのです。他の教室の発表会を聞きにいったとき、多分、歌のビブラートがかかっているなと思える人がいました。そういう方は、ご自分の才能を十分に引き出すよう努力すればいいので、あとは読み飛ばしてください。
 また音階から始めます。ドドドド|レレレレ…というのを舌を使わないで、息の加減だけでできるでしょうか。早さは、一つの音が4分音符でよく1小節に四つの音で十分です。ゆっくりやります。このときのドドドドは、ドとドの間が切れていますね。
 次は、この呼吸を加減して、ドとドの間が切れないように吹いてみましょう。ドオオオという感じになりますか。
 実は、これでいいのです。「横隔膜を震わせなさい」といわれてもとまどってしまうだけですが、この方法で吹いているときの感覚が、横隔膜が震えるということなのです。それでは、音階を吹いてみましょう。

 ドオオオ|レエエエ|ミイイイ|ファアアア|ソオオオ|ラアアア|シイイイ|ドオオオ

 もちろん、このようなゆっくりさではきれいなビブラートになりません。十分感覚をつかんだら、今度は一つの音を8分音符の早さにしてみましょう。

 ドオオオオオオオ|レエエエエエエエ|ミイイイイイイイ|ファアアアアアアア|ソオオオオオオオ|ラアアアアアアア|シイイイイイイイ|ドオオオオオオオ

 次は3連符です。

 ドオオ オオオ オオオ オオオ|…

 あせらず、確実に反復練習して、一つ一つの振動の長さが同じになるように訓練します。
 最終的には16分音符の早さにします。

 ドオオオ オオオオ オオオオ オオオオ|…

 決してすぐできるとは思わないで下さい。私は16分音符の早さになるまで1年以上かかっています。絶対にマスターするんだという強い信念がないと、きれいな音にはなりません。
 単なる音階練習と平行して、スローな曲に適用してみます。「アニー・ローリー」とかシューベルトの「アベマリア」がよいでしょう。
 ビブラートの早さを安定させるのは大変根気がいります。通勤電車の中、散歩中など、ハーモニカがなくても練習しましょう。(息を他の人にかけると、痴漢と間違えられるので要注意!!!)

クロマチックを磨きましょう(5)

 喉と横隔膜による2種類のビブラートのかけ方について説明してきました。
 今回は,ビブラートに関係することをいくつか話題にしてみます。
 1曲の中で,どこでビブラートをかければよいのでしょうか。1曲の中には,音符が細かい部分,粗い部分があります。これらすべてについてビブラートをかける必要はありません。「音が細かい部分では,ビブラートをかけようと思わなくてよい」というのがクロード・ガーデンさんの講習での説明でした。この助言は,大変ありがたかったです。おかげで,8分音符が続いているような場所では,安心してビブラートをサボることができ,無駄な努力をしないですみました。
 ビブラートができるようになって,あらためていろいろな音楽を聞いてみますと,他の楽器の演奏,オペラ,演歌などのボーカルなどのビブラートに気付くようになります。それまでビブラートをあまり意識していなかった自分にも気付いてびっくりもしました。本当に,いたるところでビブラートが使われているのですね。
 横隔膜のビブラートは,最初はゆっくり,だんだん早くなるよう長期間かけて練習していきますが,たとえばフォーレの「夢のあとに」をビブラートをかけて演奏してみようと思ったとします。フルートやバイオリンの演奏を聞いて,そのビブラートの早さに自分のビブラートの早さを重ねてみます。すると,フルートのビブラートが自分の横隔膜の振動よりずっと早いことがわかります。ああ,まだまだ訓練が足りないのだなと思って,訓練に励みます。
 バイオリンのビブラートは手を動かすので早くできるのは理解できますが,フルートの場合,横隔膜しか動いていないので,原理は同じはずです。気を取り直して,さらに訓練するしかありません。
 オペラ歌手のビブラートはとても華やかです。3大テノールといわれる人達,ソプラノの響き,これらは,振動の細かさと振幅の幅の大きさが華やかさを醸し出しているように思います。クロマチックで真似てみると,確かに華やかな音がします。「もののけ姫」で有名になった米良さんのカウンター・テナーの透き通るような美しさ,これは裏声にビブラートを効かせていると思われます。「もののけ姫」を吹くときにはぜひ参考にしたいものです。
 演歌の世界はビブラートの競演です。森進一,都はるみ,八代亜紀,美空ひばり,…,どの方もそれぞれ特徴のあるビブラートを持っています。そこで,演歌を吹くときに,それを歌っている歌手のビブラートを研究してみます。オペラと違って,長く伸ばす音の最初からではなく,途中からかけるような特徴があります。振幅の幅,早さなど,それぞれの歌手に独特の持ち味があります。私は,森進一の「冬の旅」,八代亜紀の「雨の慕情」,美空ひばりの「川の流れのように」などをレパートリーとしていまして,それぞれの歌手の特徴を出すよう心がけています。
 クロマチック奏者のビブラートにも非常に個性があります。レオ・ダイアモンドさんのなめらかな喉ビブラート,ラリー・アドラーさんの舌ビブラート,リチャード・ヘイマンさんの個性的な喉ビブラート(あの「ルビー」を聞いてみてください),クロード・ガーデンさんの横隔膜ビブラート,トゥーツ・シールマンさんのジャズ向きの穏やかな横隔膜ビブラート,トミー・ライリーさんのハンド・カバー・ビブラート等々。彼等の演奏は,聞くとすぐ分かります。
 日本のプロ奏者のビブラートも多彩で,個性的です。彼等の演奏は実際に耳にする機会があるので,ぜひお聞きになって,どんなビブラートを使っているか聞き分けてみてください。
 ビブラートを研究すればきりがありませんが,真似るだけでなく自分の音を作り出す段階に進まなければなりません。それはまた長くて苦しい道だと思いますが,同じクロマチックを使っていて,まったく違う音を出す楽しみ,中々捨て難い喜びです。

クロマチックを磨きましょう(6)

 連載開始から、2年以上経ちましたね。もう、クロマチック・ハーモニカもピッカピッカに光っているのではないでしょうか。今回で最終回とします。
 クロマチックの音をきれいにするためには、耳が重要な働きをします。自分の音をよく聞くことです。意識はしていないのですが、脳の中でフィードバックが働いて、きれいでない音に対し、瞬間的に修正が行われます。
 ところが、初心者の場合には、譜面を追っかけるのが精一杯で、自分の音も他人の音もまったく耳に入っていないようにみえる方が少なからずいます。
 「みんなの街」のコンサートで、人数が多いグループのいくつかが、指揮者がいるのに右のグループと左のグループのテンポがずれていくというのを何度も見聞きしました。まず、指揮者が見えていない、また、他人の音が聞こえていないとしか思えません。本当に聞こえない場合には、ベートーベンの第9のエピソードにありますようにテンポがとれないはずですが、聞こえているのであれば、とにかく自分の音、他人の音に耳を澄ますようにとアドバイスするしかありません。
 さて、クロマチックの練習時には自分の音をよく聞いてください。音程は正しいでしょうか。クロマチックは微妙な楽器で、口の形、舌の位置などが正しくないと、正しい音程が出ません。しかも、低音部、中音部、高音部でそれぞれ正しい形や位置が異なります。それを判断するのは、自分の耳です。自分の音をよく聞いている耳であれば、変な音程になったり、なりそうになったりすると、脳がしっかりフィードバックしてくれて修正してくれます。といってもどれが正しい口の形なのか舌の位置なのかを知らなければ修正のしようがないということになります。
 それを訓練するためには、やはり音階練習しかありません。ここで重要なのは、音が出しやすい中音部だけで練習しないことです。低音部、高音部も自分の耳が納得いくまで反復練習で鍛えてやることです。
 ビブラートもよく聞きましょう。震えてはいるけれど途中で音程が揺れ動いたり、振動の早さが不揃いになったりしていませんか。点検して、きれいに揃うまで反復練習しましょう。
 さて、クロマチックの音は、音程が正しければよいというのでもありません。クロマチックを咥えながら、口の形をA、E、I、O、Uと変化させてみてください。それぞれ、違った音色がするはずです。また、息の流れを変えたり口の形を変えたりすることで意識的に音を下げる効果を与えることができます。ノー・ビブラートといって、ビブラートをかけない効果もあります。このような効果はクラシックでは使わないのでしょうがポピュラーやジャズではよく使われます。
 クロード・ガーデンさんやトゥーツ・シールマンスさんのCDを聞いていると、このように音色を変えたり、音程を下げたりする効果がたくさん出てきます。これらをよく聞き取って、自分でも応用してみましょう。これも、自分の音を聞かないで、単に口の形の真似をしているだけでは、音楽的な演奏にはなりません。あくまで自分の音をよく聞いて、納得して吹くことです。
 最後に、自分の音をよく聞いていると思われる方を二人紹介しておきましょう。テレビのCMでチェロ奏者のヨーヨーマさんの演奏姿が映ることがあります。ウットリと目を閉じて自分の演奏に聞き惚れている姿、特にスローな曲でのビブラートは素晴らしいです。
 もう一人は、クロード・ガーデンさんです。セピアのライブのリハーサルなどで音出しの練習をしているのを見かけますと、目は遠く前方を眺め、ランランと輝いています。あの姿は、何かを見ているのではなく、全身全霊をかけて自分の音を聞いているのだと思っています。そういう目で彼の演奏姿を見直してみるとよりコンサートを楽しめると思います。
 耳を訓練しましょう。Good Luck!!!

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