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修理研究



上げ身の調節
強く吹いたり吸ったりしたとき、どこかの音がすぐ詰まって音が出ないということはありませんか。張り切ってffで吹いたのに音が出ないのでは困りますよね。そんなときはリードの上げ身(ギャップとも呼ばれます)を調節してみます。
まずカバーを外してリード・プレートとリードをよく観察します。吸い音の場合はカバーを外すだけでよいですが、吹き音の場合はリード・プレートも外す必要があります。ネジ留めの最近のリード・プレートはメンテナンスが楽になりました。

さて、リードの上げ身は低音の場合多く、高音の場合少なくなっています。そして低い方から高い方へと上げ身の幅も単調減少しています。ところが吹き詰まり、吸い詰まりしやすいリードを観察してみると、この単調減少性を乱していることがわかります。左の写真では、右から4本目の吸い音リードの上げ身が周りに比べて少なくなっています。
問題のリードが見つかったら、上げ身を調整してやります。上げ身調整用の真鍮のヘラを、写真のようにリードの奥の方へと押し込んでやると上げ身を少し上げることができます。あんまり押し込んだり、ヘラで無理にリードを上げたりしますと、上がり過ぎた状態になったりリードが折れたりしますので、十分気を付けてください。
ヘラの先が薄すぎて上げ身が上がりにくい場合、ヘラの後ろを前にして押し込むこともあります。後ろの方が厚くなっているので。
この道具はヘラの先がかなり厚いので低音部の上げ身調整によく使います。

上げ身を上げすぎると空気漏れがひどくなり、スカスカの音になってしまいます。上げすぎたリードは指の爪で押し込んでやると簡単に直ります。

ただし、上げ下げを繰り返しているとリードが折れてしまうので、なるべく一回で決めるようにしましょう。

上げ身調整によって、リードの音程が下がってしまうことがよくあります。その場合は調律が必要ですので、調律のページを参考にしてください。
メーカー、モデルによっては上げ身が少なめになっている製品があります。大きな音が出せなくてとても困ります。そんなとき、全体の上げ身調整に挑戦しましょう。好みの上げ身でないときは全音について調整してみてください。きっと貴方好みの他人が持たないクロマチック・ハーモニカになることでしょう。





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