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年取ったらスローがいいんだよ

 


真田正二

ふと聞いた言葉がずっと心に残って人生の糧となることがあります。大学でのハーモニカ・ソサェティ生活が終わって吹く機会が少なくなったとき、東京大手町の産経学園でハーモニカの講座を受講しました。講師は佐藤秀廊先生。私はクロマチックをと希望を述べて、複音に関しては高弟の川上桂二郎先生、林淑子先生や寺沢博義先生(すべて故人)がレッスンを受けるのを横で見ているだけした。先生は、「僕はクロマチックは吹けないから、演奏を聞いてあげるよ。」と受け入れてくださいました。そのうち川上先生のドミナント・ハーモニカによる伴奏付きメロディと寺澤先生のバス、私のクロマチックでトリオを組んで演奏を聴いてもらったり、一度ですがテレビにも出演しました。

仕事の都合でアメリカ長期出張が決まり、先生にお願いして一曲だけ複音の曲を習うことにしました。曲は「荒城の月」。一度自宅でみっちり教えてくださり、また色んな曲を聴かせてくださいました。その時の雑談で先生がおっしゃったのが冒頭のお言葉。

若い時はスローな曲で人を魅了するという考えは浮かばず、ある程度速い曲、「剣の舞」、「ホラ・スタッカート」、「トルコ行進曲」などに血道をあげていました。1994年にLPの演奏でおなじみのクロマチック奏者クロード・ガーデンさんが来日し、一人30分のレッスンを開いてくれました。そのときに初めて習った目から鱗の「横隔膜ビブラート」。コツは30分ほどで掴める程度のテクニックですが、それを曲の中で効果的に使えるようになるには3年以上かかりました。

月日流れて歳と共に思いだされるのが冒頭のお言葉。なるほど、速い曲に頼らなくても自分で感じ入ることができるし、ボランティア演奏でお年寄りから「天使の声のようでした。」という有り難い感想もいただけました。

スローな曲の演奏で心がけているのは、「ハーモニカは耳で吹け。」という自分流の格言。録音をしておいて後で反省するのではなく、吹いている最中に表現の効き具合を確かめながら、リアルタイムで演奏をチェックしつつ吹いています。今、自分が感動できない音をどうしてお客が感動出来ようか!という精神ですね。この演奏スタイルはクロードさんから学んだものでもあります。演奏中目がランランと輝き、自分の音に全霊をかたむけているあのお姿、亡くなられた今もはっきり思い出すことができます。



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