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ラスカルズに会いたい

 


口琴藝術No.179(2008年夏号)に掲載された記事です。

クロマチック愛好家 真田正二

 「ハーモニカ・ラスカルズ」、大学のハーモニカ・ソサイエティに入部した頃、アメリカにはそんな名前の楽団がいたと聞きました。リチャード・ヘイマン、レオ・ダイアモンド、ハーモニキャッツのジェリー・ムラッドなどの有名なハーモニカ奏者がそこの出身だと聞いて、どんな演奏をするのだろうと夢が膨らみました。

 インターネットが普及した21世紀に入って、ネット上のオークションでCDを2枚見つけて買うことができました。クロマチック数本、バス、コード、グリッサンドなど、ハーモニカ・オンリーの編成でジャズっぽい演奏です。ハーモニカの和音でバックの流しを厚くしているのがハーモニキャッツには見られないサウンドです。

 そのうち、ネット上で紹介しているサイトが見つかり、いくつかの写真で、なんかCDの音からは聴き取れないけれど、とても面白いことをやっていたバンドなんだということがわかってきました。
 そして、ついにネット上のオークションでVHSビデオを見つけて購入しました。

 いや、なんと、なんと、見事なコミック・バンドではありませんか。売りは、指揮者のボラ・ミネヴィッチのおふざけ指揮ぶりに、引っかき回し役の小人のジョニー・プレオのおとぼけアクション。他のメンバーは巧みな演奏ですが、この二人にかき回されて迷惑そうな顔をしながらも演奏は外しません。演奏中にジョニーが隣の奏者を蹴とばして、さっと反対側に回って何食わぬ顔で吹き続けます。蹴飛ばされた奏者は隣の奏者に掴みかかりますが、濡れ衣なので迷惑そう。するとまたジョニーが反対側で蹴飛ばして戻ってくる。こんなドタバタをずっとやりながらも見事な演奏が続きます。

 また、断片的ですが映画の1シーンとしてラスカルズが演奏していたり、Rascals主演のジプシー楽団の映画「Rascals」ではボラが見事なツィンバロム(ダルシマー)の演奏を披露したりと、当時かなりのメジャーな売れっ子楽団だったことが窺われます。

 生前ラリー・アドラーに聞いたところでは、入団を希望したが断られた、そして有名になった後入団を勧誘されたが断ったとのこと。笑えます。
 こんな面白いラスカルズの姿をぜひ日本のハーモニカ愛好家に見ていただきたいものですが、幸い、その一部の動画をネットで見ることができるのです。有名な動画サイトYouTubeで、「Harmonica Rascals」と検索すると、3つぐらい1945年頃の動画を探すことができます。ぜひお楽しみください。

 そんなラスカルズに会ったら、何を聞いてみたい?そりゃあもちろん、

 「日本人の私でも入団させてくれる?」

です。



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