直線上に配置
下町オケ参戦記


未発表

2004年3月5日



 東京江東区門前仲町にある門仲天井ホール(通称門天ホール)を練習場とする下町オーケストラ「もんなか・もんじゃ・オーケストラ」(通称もんもんオケ)に参加して 1年が経ちました。このオーケストラを率いるのは作曲家・編曲家で指揮者の内山有希夫さんで、演奏分野はポピュラー音楽を主体としています。

 ホームページで検索中にこの楽団 を見つけ、団員募集の謳い文句『新世紀を迎えた 2001年月、下町の新しい音楽拠点として誕生した「もんなか・もんじゃオーケストラ」は、アマチュア・プロ問わず、老若男女問わず、楽器の種類問わず、経験・未経験問わず・・・・やる気のある人は誰でも参加できる、 "初めにひとありき"の新発想音楽集団です。』につられてすぐ入団を決意しました。

 楽器構成は金管楽器(トロンボーン、ユーフォニュウム、アルトサックス)、木管楽器(フルート、クラリネット、オーボエ)、弦楽器(バイオリン、ギター、エレキギター、エレキベース)、ピアノ、ドラム、パーカッションという具合で、その中にリード楽器であるハーモニカが加わったことになります。団長の方針では、参加する楽器に合わせて曲を編曲することになりますので、一定の編成を考慮したオーケストラとは一線を画した楽団であり、そこにまたハーモニカで参加する意義もあるわけです。


定演後、別途ユニシス・コンサートに参加

 とはいっても最初からハーモニカのパート譜が用意されるわけでもないので、当初は C調楽器であるバイオリン、ユーフォニュウム、オーボエなどののパート譜を暫定的に吹くことになりました。コンサートに向けて新曲が用意されるごとにハーモニカのパート譜も用意されていきました。

 練習に参加してみると、明らかにトリオ編成やハーモニカ教室の合奏とは趣きが異なります。一つは、休みが多いことです。色んな楽器がそれぞれの出番に参加するので、コーラス全部休みとか、コーラスの途中から音を出すとかになるため、常に休みの数を数えている必要があります。歌手が参加する曲など、最後のエンディングでようやく音を出すという編曲もあり、 私は指折りしながら数えているのですが、他の方はそんな雰囲気もなくどうやっているのかなと疑問に思っています。もう一つは1曲に対する練習回数の少なさです。何度も練習していれば一々数えなくても音出しをできるとは思うのですが、1曲2回ほど通すと、次の曲の練習に移ってしまいます。こうなると読譜能力が求められます。しかも調子は任意の調子が使われますし転調も当たり前ですから、気の休まる暇がありません。月2回の練習ですので、次回に参加するともう前の記憶がなく、常に初見で勝負しているような面があります。

 そんな状態ですのでハーモニカでは小節を数えつつ、吹き出しの穴の位置を確認すること、吹き吸いの判断をすることを音出しの瞬間に判断しなければなりません。指の形で音を特定できる他の楽器よりそんな意味では難しいかも知れません。学生時代はそれを練習量でカバーできていたのですが、また一味違う参加の仕方だなと思いました。

 曲の種類はラテン、タンゴ、映画音楽、演歌、セミクラシックなどさまざまですが、これは学生時代のバンドと通じるところがあってなじみがあります。

 問題は、他の楽器との音量の差です。オーケストラ用の楽器って、どれも音量が大きいのですね。ハーモニカではとても太刀打ちできません。エレキベース用とギター用のアンプは用意されていましたが同居するのもはばかれたので、Pignose 7-100R という腰に付けられるくらい小さな携帯用アンプとマイクを常に持ち込んで練習しています。本番でも使いました。


Pignose 7-100R

 そうこうするうちに、ハーモニカのソロ曲が入ってきました。「タクシードライバー」です。元はサックスの演奏だそうで、結構細かい音もたくさん含まれています。こういうのはさすがに初見では無理で、何度か個人的に練習して本番に備えました。楽団のメンバーは Tootsの演奏を知っている人も知らない人もいますが、知らない人にとってはハーモニカの音色は独特の印象を与えるようで、練習後の飲み会にはよく感想を述べてくれました。

 さて、練習中に指摘されたことについて述べておきます。ハーモニカは HohnerのSuper 64やHeringの50164を使ったのですが、音程についてこんなことをフルートの人から指摘されました。「バイオリンがソロを取っているときは音程を高めに吹いて、ハーモニカがソロを取っているときには低めに吹いて、合わせるのが大変でしたよ。」と。そういえば持っていったハーモニカは、古いHohner もHeringもA=440で調律されています。最近のピアノはA=442になっているので、バイオリンもフルートもA=442に合わせているようでした。音程の違いに気づかなかった私の未熟さではありますが、指摘されると非常に気になって、早速家でA=443のハーモニカを用意しました。ハーモニカの場合、強く吹くと少し音程が下がるので最近の Hohner製品はA=443にしてあるというのを聞いていたので、それに合わせたのです。しかし16 穴のハーモニカのすべてのリード、64枚について全部調律するというのは、狂った音だけを調律するこれまでのやりかたとまったく違って、かなりの労力を費やしたのでした。できあがったのを持っていくと、今度はばっちりOKサインが出ました。(実はこれ以来、音程(ピッチ)にとても関心をもつようになりました。)

 時が経ち、合宿や集中練習もこなしたあと、2003年9月14 日(日)に門天ホールでの21世紀の2ndコンサート」が開催されました。楽団員30名に対してお客様は80 名入れば満員打ち止めになってしまいます。その分チケットの負担が軽くて助かってもいるのですが。こんないい演奏なのに少しもったいない気がしました。盛況のうちに各演奏も順調に進み「タクシー・ドライバー」のソロもばっちり決まって演奏会終了、するとなんとハーモニカ・バンドのずっと若い後輩達が「タクシー・ドライバー」がとてもよくて現役に聞かせてやりたかったと挨拶にきました。驚きましたが、ネタは、当楽団のピアニストが同じバンドの出身者で、チケット販売の関係でかっての同輩達を呼んでいたのでした。事前にしらなかったので、ちょっとびっくりでした。

 演奏会には打ち上げが付き物です。当楽団の打ち上げ会場は当然のように門前仲町のもんじゃ焼き店なのでした。

 参加して一年が過ぎ、もうすっかりハーモニカ・パートもこの楽団に定着しました。いろいろな楽器に混じっての参加で当初は若干不安でしたが、今ではどれかのC 調楽器の人が欠席のときにそのパートを演奏してみたり、アドリブ・ソロの人が欠席したときにホイとやってみろといわれたり、頼りにされるまでになりました。

 今のところ定期演奏会は2004年9月12日(日)、門天ホールでの開演が予定されております。コンセプト固めが終われば、またそれに合わせた新曲がたくさん編曲されてくることと思います。今年はどんなソロを担当させてもらえるかとても楽しみです。また、年一回ではもったいないとのメンバーの意見もあり、別の演奏機会もあるかもしれません。乞うご期待。


トップ・ページ・アイコン
トップページへもどる

お話へもどる

直線上に配置

©copy right 2001 Shoji Sanada, All rights reserved