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クロマチック実践2



未発表

目次
手入れ1
手入れ2
修理1
修理2
修理3
表情を付けましょう


手入れ1

 日々練習に励んでいますと、クロマチック・ハーモニカもだんだん傷んできます。簡単な手入れの方法について考えてみましょう。

結露対策
 夏の間はあまり気にならなかった結露ですが、冬になると大変気になります。ハーモニカが冷えていると、吹き始めから内部に結露が生じます。すると空気の出入りをコントロールする弁の役割を果たしている白いプラスチックのバルブがリード・プレートに貼りつき始め、音の出だしの時にはがれるまでの一瞬の遅れが生じ、演奏がスムーズにできなくなります。このような状態になると練習自体が面白くなくなりますので、2本目のハーモニカに切り替えるようなことが必要になります。
 それでなるべく結露するのを防ぐためには、練習前にハーモニカをポケットに入れて暖めるよう心がけましょう。2本持っている人は、片一方をポケットで暖めておき、結露すると入れ替えて使うといいですね。

バルブ(ウインド・セーバー)
 カバー・プレートを外すとリードプレートにリードとバルブが取り付けられています。バルブはよく観察すると白い紙のようなものと透明なプラスチックの2枚からできていることがわかります。長い間使っていると、結露などの結果としてこれらの2枚が糊でくっついたようになってしまうことがあります。
 これが音に与える影響は大変大きくて、ビリビリした感じの音がするようになったときは、大抵これが原因です。そのような場合はその音に関係するバルブをよく点検して、細いドライバーの先などでくっついた2枚をそっと剥がしてやります。
 リード・プレートの内側にバルブがある場合は、リード・プレートのネジ(または釘)を外して分解する必要があります。
 まれにバルブの取り付け位置が少しずれて、穴を正しく塞いでいないことが原因でビリビリした音になることがあります。これは一旦バルブを剥がして、接着剤で貼り直します。ホーナー社の修理キットには、バルブのセットと接着剤が入っており、この接着剤は粘着力が強くなく、いつでもまた剥がせるので便利です。
 あまりに汚くなったり、すぐリード・プレートに貼りつくようになってしまったバルブはこの修理キットに入っている新しいバルブで貼り直してやるといいのですが、その際、リード・プレート側も汚くなっていることが多いので、濡れティッシュやアルコールできれいにしてやると長持ちします。

スライド・レバー
 スライド・レバーは常に息が吹きかかる部分ですから練習や演奏の後、唾液がこびりついています。唾液は薄いながらも本質的には糊なので、乾くとレバーが貼りついて動かなくなったり動きにくくなったりします。次回の最初にエイッと力を込めて動かすようにした経験のある人も多いことでしょう。
 スライド・レバーの掃除は、毎回とはいいませんがかなり頻繁に実施しなければならない手入れです。マウス・ピースのネジを外すと分解できますから、スライド・レバーにこびりついている乾燥した唾液のカスを取り除きます。方法には、水洗いする、濡れティッシュで拭く、アルコールで拭くなどがありますが、私が実践している簡単な方法は、スライド・レバーの上下の金属プレートなどでカスをこすり落とすことです。きれいになったら、また注意深く組み立てましょう。
 よくマウスピースの右側のネジを緩めて動きの悪いスライド・レバー対策にしている人がいますが、これでは空気漏れがしてしまい、高音部の音が出せなくなるので。面倒でも分解してきれいにする習慣をつけましょう。
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手入れ2

 前回に引き続き、クロマチック・ハーモニカの日頃の手入れについて考えていきましょう。

スライド・レバーの音
 マウスピースのネジには小さなプラスティックのパイプがついており、スライド・レバーが動く時のストッパーの役をしています。マウスピースを分解するときにこのパイプをうっかり無くしてしまうと、スライド・レバーが動くたびにカチャカチャと音がするようになってしまいます。また、パイプが無くなっていなくても、変形してストッパーの役目をなさないようになっていることもあります。
 このパイプの代替品は結構身の回りで見つかりますので探してみましょう。ボールペンの芯とか細いビニール・パイプなどを切って使えます。材質があまり硬いとやはりカチャカチャ音の原因になってしまいますので、音がしないものを探しましょう。

スライド・レバーのバネの穴
 スライド・レバーの材質は真鍮で、バネは鋼鉄ですので、長年使っているとバネの穴がだんだん広がってきて、ついにはマウスピースの穴がうまくしまらなくなり息漏れがするようになります。
 穴を元のように小さくしたいわけですが、私はクリップの適当な大きさのものを選んでペンチで先を切り、接着剤で穴を埋めています。最近の接着剤は強力なので、結構実用的にくっついています。いつかまた取れるかも知れませんが、またくっつければよいと割り切っています。
 穴を小さくすると新品のように息漏れのない音が出て、とてもうれしいものです。

リード・プレートの外し方
 最近のクロマチックのボディはプラスチック製が多くなり、リード・プレートはネジ止めになってきましたので、外すのは簡単ですが、スーパー・クロモニカ270はいまだに釘止めです。
 当初道具がなかったので、270のリード・プレートを外すのにドライバーを少しずつ差し込んでいく方法をとっていました。木製ボディにドライバーの先の跡がつきとても汚い仕上がりとなってしまいました。
 道具を探していたのですが、100円ショップで果物ナイフの手ごろなのを見つけ試してみると、接触面積が大きいのでとても具合がいいことがわかりました。
 一度リード・プレートを外しておくと、後は釘をうまく抜いていくことで簡単に取り外せるようになります。

マウスピースのネジ穴
 スーパー・クロモニカ270のボディが木製であることから、マウスピースを頻繁に外して手入れをしていると、ついにはネジ穴の木質が崩れ、ネジがバカになってしまうことがあります。もう寿命かと思ってしまいますが、あわてないでください。
 ネジ穴に木質用ボンドを適度に垂らして一晩放置しておくと、ネジ穴を再生させることができます。
 同様に、バネが木質部に頻繁にぶつかることから、ついには木質部が割れそうになってしまうことがありました。完全に割れてしまわないうちに木質用ボンドで補強すると、十分使用に耐えるようになります。

部品の確保
 すでに壊れてしまったクロマチック・ハーモニカでも捨てないで保存しておきましょう。使えるハーモニカが壊れたときの部品の供給源になるからです。バネが壊れたとき、ネジがなくなったとき、カバーを傷めてしまったときなど、大変重宝します。リードの交換にも古いハーモニカから取り外して使うことができます。

練習用ハーモニカ
 ハーモニカのリードは劣化してピッチが狂いやすいので、修理ができない人は練習用と本番用は分けておき、なるべく本番用を温存しておきましょう。
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修理1

 クロマチック・ハーモニカは他の楽器に比べて価格が安いのはありがたいのですが、結構壊れやすい楽器なので壊れるたびに新品を買っていたのではそうそう安いといってもいられません。ちょっとした修理ができるようになっておくとよいでしょう。
 ホーナー社が販売している修理用具には、バルブ1式、バルブ用接着剤、鑢、引っかき棒、真鍮ヘラ2本、ドライバー(+と-)、シリコン油などがそろっていますので、ごく普通の修理には十分です。

音程の調整
 ハーモニカの発音体であるリードは激しく振動する部品ですから、吹いているうちに金属疲労が起こるためか音程(ピッチ)が狂いやすい部品です。
 音程が狂ったかどうかの判定には、オクターブ奏法をやってみるとよくわかります。澄んだ音ではなくて自然にビブラートがかかるようだと、どちらかのリードが狂っているのです。
 確かめるためには、チューナーが必須ですので一つ買っておきましょう。
 音程の狂いには下がる場合と上がる場合があります。多くは下がることが多いのですが、修理で音程を上げ過ぎたりすることがありますので、どちらも修理できるようにしておきましょう。
 リードの音程が下がった場合には、リードの振動する先の方(取りつけ部分の反対の方)を鑢で削ります。削ることで先が軽くなり、振動数が増えるので、音程が高くなるのです。
 吸い音の場合は、カバーを外せばリードが見えているので、真鍮ヘラを下に敷いて、リードの先を削ります。どの程度削るかについては初心者は判断に困るところだと思いますが、回りのリードを観察して見てください。多かれ少なかれ製造時に削った跡があるはずですので、参考にして少し削って見てください。チューナーで音程を確かめるとよいのですが、音程は吹き方でかなり変わりますので、素直な音を出す必要があります。私が愛用している方法は、オクターブ奏法で澄んだ音が出るかどうか試すことです。何度も削り直して、少しずつ正しい音程に近づけていきます
 音程が上がっている場合、リードの根元(取りつけ部分に近い方)を削ります。根元を削ると先の方が相対的に重くなるのか、振動数が減って音程が下がるのです。
 これも真鍮ヘラを下敷きにして、根元を削ります。やはり回りをよく観察してどの程度削ったらよいのか判断してください。
 どちらの場合も、削りすぎるとリードが駄目になってしまいますので、慎重に扱うことを心がけてください。
 吹き音の場合の修理は、リード・プレートを取り外して行うのが安全です。ねじ止めの場合はネジを外せば取れ外せるので、面倒でも外してください。木製ボディで釘止めの場合はナイフの先でリード・プレートと木部の間を少し空け、浮いた釘をそっと抜いていくと取り外せます。一時期、プラスチック・ボディで釘止めの280がありましたが、これはてこずりますね。ナイフの先で上手に外すか、ネジ止めに変えてしまう手があります。リード・プレートにネジ穴を空けるのが大変ですが、一度やったことがあります。
 ただし,修理に慣れてくると、リード・プレートを外さずに、ドライバーの先を内側に差し込みリードを中から押さえておいて、外からリードの先や根元を削ることもできます。このとき、バルブが邪魔になることがあるので、一旦外しておいて修理が終わってから貼りつけ直すとよいでしょう。
 リードの削り方は、クロマチック・ハーモニカでなくても練習できます。安い10 holesや昔学校で使ったハーモニカがあれば練習できます。
 折角修理しても、すぐまた音程が下がることがあります。このような状態はリードが折れる寸前であることを意味します。リードの先を少し曲げると、ポロっと折れてしまうことが多いです。こうなったら、リードを交換するしかありません。
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修理2

 クロマチック・ハーモニカの吹き方が上達するにつれ,呼吸の加減がわかってきてリードが演奏中に折れるというようなことはあまりなくなってきますが、初心者の間は必要以上の吹き方をするため、リードが折れてしまうという事態が発生します。
 また、長い間使っているために金属疲労で折れてしまうというのは熟練者でも経験することです。

リードの交換
 リードを交換するには、交換するリードが必要になってきます。輸入元のモリダイラ楽器から入手することは可能だと思いますが、私自身まだ取り寄せたことはありません。
 そこで、以前に駄目にしたクロマチック・ハーモニカから部品を取り外して使うことになります。なるべく同じ機種の部品を使うようにします。長さが微妙に違いますので。
 まず、交換部品のリードを取り外します。リード・プレートをボディから外します。該当部分のバルブは剥がしておいてください。
 リードはリベットで打ち付けられていますので、裏からリベットの反対を叩けばスポッと外れるのですが、ここで修理用具が必要になります。リードの幅より少し太いだけの溝を掘った土台を作っておけば、リード・プレートを曲げてしまうことなしにリベットを叩き出すことができます。リベットを叩くには先のとがった細くて硬い棒をリベットの先に当てて、金槌で棒の先を叩きますが、これに便利な道具として最近愛用しているのは、百円ショップで買える精密ドライバー・セットの+ドライバーです。かなり硬いので何度も使っても大丈夫ですし、なにしろ安いです。
 次に折れたリードの残りを同様に取り外します。こちらのリード・プレートは曲がってしまうと使えなくなりますので、部品を取り外すとき以上に慎重に、かつ大胆に金槌で叩きます。このコツは難しいので、最初の部品取り外しのときに何枚か外してみて力加減を練習しておく方が無難です。私も何度かリード・プレートを曲げてしまっています。
 さあ、今度はリードの取り付けです。取り外してある交換用のリードとリベットをまずは取り付けてください。そのままではグラグラして固定されませんね。取り付けるときにリードがずれて正しく穴に収まらないことがあるので、セロテープでしっかりとリード・プレートに固定させてください。今度は溝のない土台に、取り付けるリードを下にしてリード・プレートを置き、先ほどのドライバをリベットに当て、金槌で叩きます。ここではリベットを潰して広げることによって、穴にリベットがしっかり取り付けられることを目的としています。
 うまくいけば、リードの先をちょっと弾いてやるとピーンという音がします。そうなれば修理成功です。リードが穴にすこし擦れてしまうと、ピーンという音がしませんのでリード・プレートを明かりにすかしてみて、ずれがないか調べます。うまく調整して,再度リベットを叩いて固定させます。
さて、取りつけが終わっても、多くの場合取り付けたリードの音程は変わってしまっていることでしょう。取り付け位置が元のハーモニカと少しだけずれているとか、取り付け方に差があるなどが原因です。慌てずに鑢で削って調律しましょう。
 最後に剥がしてあったバルブを接着剤で貼り、リード・プレートを取りつけ、カバーも取りつけて完成です。
 スズキのクロマチックはリードを溶接してあるので、この技は使えませんが、修理の大先輩によれば、リードを剥がして穴を空け、リベットで打つのだそうです。私は未経験です。
 なお、最近は交換用のリード・プレートを売っていることが多いので、お金に余裕のある人はそれを購入した方が安全、確実ですね。
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修理3

 クロマチック・ハーモニカはいろいろな壊れ方をします。経験したことを列挙してみましょう。

ボタンの取れ1
 スライド・レバーのボタンの接着剤が剥がれた。金属用ボンドや2液混合式接着剤で付け直してOK。

ボタンの取れ2
 スライド・レバーとボタンの取りつけ部分が折れてしまった。流石に修理不可能でスライド・レバーをモリダイラ楽器から買い直して取り付けた。

バネの折れ
演奏中にバネが折れた。古いクロマチックのバネを活用してOK。

落としてスライド・レバーが曲がった
 落とした時、ハーモニカがスライド・レバーから着地し、曲がってしまった。土台の端にスライド・レバーを置き、金槌で叩いて平らにし、OK。

270の木製ボディが割れる
 乾燥しすぎたためか木製ボディはよく割れる。リード・プレートを外し、木工用ボンドで貼り合わせ、余分な接着剤をきれいに拭き取って1日乾かし、再度組み立ててOK.。

270のバネ収容の穴が、バネで壊れる
 バネの帰りが強く、ついには壁を壊してしまうことがある。壊れた部分を木工用ボンドで補強してOK。

280のバネ収容の穴が、バネで壊れる
 同様だが、プラスチック・ボディなので、ボディの部品をモリダイラ楽器から購入して交換した。

バネの穴が大きくなる
 クリップの先を切って、穴埋めに使った。2液混合式の接着剤で接着。

270のネジ穴がバカになる
 何度もマウスピースを取り外したりしているうちに、木製のネジ穴が崩れて効かなくなった。木工用ボンドを垂らし、翌日ネジを取り付けることでOK。

270のリード・プレートの釘穴が緩くなる
 何度もリード・プレートを外していると、釘が効かなくなる。木工用ボンドを釘穴に注し、1日乾かして釘を取りつけてOK。

ボタンが痛い
 スズキのクロマチックのスライド・レバー・ボタンは半球形をしている。指先でボタンを押す奏法だとこれがひどく痛い。鑢で半球部分を平らにして解決。クロード・ガーデンさんが指先で押すスタイルなので真似して取り入れたのが原因ではあるが。

280のマウス・ピース取り付けネジ
 280のマウス・ピース取り付けネジを受けるナットがずれてしまい、ネジが止まらなくなる現象が発生。よく観察すると、ナットがある空間内で自由に動いてしまう格好になってる。その空間にティッシュ・ペーパーをちぎって押しこむことによりナットが固定され、以後再発しなくなった。

マウス・ピースからの空気漏れ
 マウス・ピースがまっすぐであると、ネジで止めたときに両端が押さえられ、中央部分が浮き上がるようになることがあり、息漏れの原因となる。これを防ぐために、マウスピースを多少凹型に湾曲させておくとよいことがある。

突然音が出なくなる
 カバーを外してよく観察すると、犬や猫の毛がリードとリード・プレートの間に挟まっていたりする。
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表情を付けましょう

 折角曲を演奏するのでしたら、表情をつけて豊かな演奏になるよう心がけましょう。といっても、表情をつけるにはどうしたらよいのでしょう。
 私はジプシー・バイオリンのCDを聞くのが大好きです。思い入れたっぷりな弾き方には、クラシックのバイオリン奏者も影響を受けるそうです。まず、このようなお手本をよく聞いた上で、その感覚を取り込みましょう。
 その上で、クラシックの曲に取り組んで見ます。クラシックの曲には曲想を付けるための記号がたくさん指定してあり、勉強のためにはポピュラーの曲よりも向いているからです。
 曲想を付けるためによい手本となる曲を紹介しておきましょう。ガブリエル・フォーレ作曲「夢のあとに」がとても参考になると思います。私が使っているのはドレミ楽譜出版社の「CDピアノ伴奏付き、結婚式・パーティーのためのフルート小品集(クラシック編)」です。この楽譜集はCDでピアノ伴奏が付いているので、一人で練習するには中々便利です。ただし、フルートのお手本の演奏が入っていないこと、伴奏譜が付いていないので、ピアノ伴奏を頼むためには別途他のフルート曲集などを購入する必要があります。
 この楽譜をよく読むと、スラー、タイ、強弱のクレッシェンド、ディクレッシェンド、p、mf、f、息継ぎを表すブレスなどの記号が現れます。これらの記号にしっかりと反応して演奏することが重要です。
 タイは音符をつなげて長さを変える働きがあります。よく似たスラーの方は、滑らかさを表すと同じに、メロディの塊であるフレーズを表現しています。プロの演奏家のお手本を聞きながら楽譜を眺めると、実にスラーがフレーズを表していることがよくわかると思います。
 次に息継ぎを表すブレス記号に注目しましょう。ハーモニカは吹き吸いのある楽器なので、息継ぎを無視しても息が苦しくなるということはないかもしれません。しかし、このブレスも曲のフレーズを表す大事な役目をしています。息継ぎをすることによってフレージングがはっきりし、曲にメリハリが出てきます。試しに息継ぎをしないでこの曲を演奏し、後で録音を聞いて見るととてもひどい演奏になっていることがわかるでしょう。特にこの曲の息継ぎは小節の切れ目ではなくて途中に出てくるので、決して無視してはいけません。
 この曲で残っている記号は強弱記号です。クレッシェンドで盛り上げ、デクレッシェンドで収めるパターンがよく出てきます。これらに敏感に追随していきます。さらにmfやfの記号により、曲全体の盛り上げるべき部分が明示されています。小さな音、大きな音を、リズムを崩すことなく自由に出せるようになりましょう。クロマチック・ハーモニカの音量は小さいですが、小さい中でもダイナミック・レンジは十分に確保できます。注意すべき点は、小さな音でも大きな音でも音程(ピッチ)を変えないようにすることです。えてして大きな音を出そうとすると音程が下がってしまう方がいらっしゃるので、耳でよくコントロールしてください。
 最後に、記号として現れませんが、ビブラートを忘れることはできません。この曲の模範演奏はCDに入っていませんが他の曲のものがフルートで入っていますので、ビブラートの早さ、強さの参考にすることができます。横隔膜ビブラートを使うのであれば、フルートと同じやり方なので、同じ早さ強さが表現できるはずです。もっとも吸った音でもかけなければならないというのがハーモニカの特殊な部分ではありますが、練習で吹き吸いどちらもかけられるようにしておきましょう。
 ジプシー・バイオリンで気付くのは、強弱の欠け方が普通のクラシックの演奏より強烈だということです。そんな吹き方も練習して見る価値があります。1度このように曲想を付ける練習をしておけば、きっと他の曲にも応用できて、いつでも表情豊かな演奏が可能になることでしょう。
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